message がん経験者からのメッセージ

アピアランスの
悩みの奥にあった、
つながりたいという思い

私は16歳のときに、軟部肉腫というがんになりました。いわゆるAYA世代です。その際に、髪や眉の脱毛、ムーンフェイス(顔が丸くなった状態)、体のむくみのほか、お尻の一部の切除など、アピアランス(外見)の変化が起こりました。

その当時、ウィッグをつけて登校した際、同級生の言葉に傷つき、つらい思いをしたことがあります。つらかったのは、言葉ではないんです。せっかく勇気を出した気持ちや、治療に向き合ってきた頑張りを否定されたように感じて、学校には、自分が戻る場所がなくなったと感じたからなんです。

あの頃の私は、外見を取りつくろい、きれいに見せることばかり必死に考えていました。でも、悩みの本質は、そこではなかったんです。外見を取りつくろおうとする行動の奥にあったのは、「人とつながりたい」「がんになっても、外とのつながりを今までどおり持ちたい」という気持ちでした。大人になってから、そのことに気づいたときは、霧が晴れたような思いでした。もし同級生との関係が変わらず続いていたら、私はあれほど外見に悩まなかったと思いますね。

ウィッグやメイクは、人とつながる手段であり、道具の一つだと思います。アピアランスに悩んでいるAYA世代の方々には、それを知っていただいて、自分の気持ちに向き合ってほしいです。状況や考え方は、人それぞれかと思いますが、このサイト「Cライフプラス」で新たな気づきを得て、今後の課題を自分で解決していくための練習を重ねていただければと思います。

私は看護師として働いていた27歳のときに、甲状腺がんになりました。外見の変化としては、首などに線状の傷あとと、顔のむくみがあります。治療を終えた後は、元の職場に復帰しました。

当時の私は、忘れたかったがんのことを、首の傷あとを見るたびに思い出していました。髪をアップにしなくてはいけない職場だったので、髪を垂らしても隠しきれず、仕事に集中できないこともありましたね。そして、まわりの人から「そんなの誰も気にならないよ」と言われるたびに、わかってもらえないと孤独感を感じていました。

でも、悩んでいたのは外見そのものではなく、がん患者だということで特別な目で見られたり、まわりの人との関係性が変わったりすることを恐れていたからだと、自分のがんの体験を話せるようになったときに気づきました。

外見の悩みというのは、がんの治療後も社会に復帰したい、社会とつながっていたいと願うからこそ出てくる、前向きな悩みだと思います。自分のがんを、なかったことにしたいと思っていましたが、今では貴重な経験だったと思えるようになりました。

私はこのサイト「Cライフプラス」を見ている方に、がん患者は外見について悩んでいいということを、まずは知っていただきたいですね。私自身、命が助かっただけでもありがたいのだから、外見のことで悩むなんてぜいたくではないかと、いつまでも外見のことで悩んでいる自分に嫌気がさしたり、自己嫌悪におちいったりしたこともありました。しかし、がんの治療をした後に社会へ戻り、人とつながりを持って生きてこそ、本当の社会復帰だと思います。そんな自分が変われるきっかけになったアピアランスケアについて、同じように悩んでいる方々にも知っていただき、さらに仕事や趣味を楽しめるようになっていただければうれしいです。